Rivages Noir / Editions Payot & Rivages

リヴァージュ・ノワール
 〔1986 -〕

リヴァージュ社 (パリ)
     トンプソン、エルロイ、デニス・レヘイン
ジョージ・C・チェスブロ、デヴィッド・ピース
エルモア・レナード、ジェイムズ・グレイディ

【概説】
86年創設。監修者フランソワ・グェリフを中心としてセリ・ノワール以上に安定した出版を続けているノワール小説のコレクション。最初期はセリ・ノワールから漏れていた翻訳作品を取り扱っていたのですが、87年のエルロイ作品を出発点に新しい作家の開拓を進めていきます。88年に大判(15cm×22cm)のリヴァージュ・スリラーを併設。装丁を担当しているジャクリーヌ・グィラマンの素晴らしいアートワークを含め、完成度の高い叢書として愛好家の信頼を勝ち得ています。  

【諸データ】
【1972年2月】
グェリフは友人と一緒にジャン・アミラのインタービューを行っています。78年映画雑誌に一部が掲載されますが、全文の公開は作家没後の95年でした。 
 
【1973年】
グェリフによる古書店「第3の目」立ち上げ。パリ9区で現在も続いている有名なロマン・ノワール専門の古本屋です 
【1975年】
映画論の出版を試みていたグェリフの元にPAC社からコンタクト。映画論の出版は見送られたのですが、同社で犯罪小説叢書「レッド・ラベル」の監修を任されることになります。 
【1977年】
叢書レッド・ラベルの第1作発表。 
【1979年】
ミステリー/サスペンスの専門雑誌「ポラール」創刊。83年に28号で休刊しています。 
【1979〜80年】
ファイヤール社が新叢書ファイヤール・ノワールを創設。人気作家デラコルタが国内作家を、グェリフが翻訳作品の監修を担当します。この叢書で初めてジム・トンプソン作品が扱われています。 
【1982〜85年】
叢書アングルナージュの翻訳部門(アングルナージュ・アンテルナショナル)の監修を任される。
【1985年】
新興出版社リヴァージュから新叢書監修の打診を受ける。 
【1986年3月】
リヴァージュ・ノワールの第1番『条件付きの自由』(ジム・トンプソン著)公刊。
【1987年】
ジェームズ・エルロイ初の仏訳となる『血塗れの月』公刊。 
【1987年7月7日】
日刊紙リベラシオンにマンシェットの論考「犯罪王:エルロイ」が掲載される。この記事をきっかけに『血塗れの月』翻訳が売れ始めます。
【1987年】
エルロイの新作『黒いダリア』の版権を獲得するもページ数の多さに単行本での出版は見送り。大型フォーマットの「リヴァージュ・スリラー」新設が決定。
【1988年】
『黒いダリア』仏訳公刊。大型フォーマットのリヴァージュ・スリラー/文庫フォーマットのリヴァージュ・ノワールの二点突破態勢が整う。
【1989年】
リヴァージュ・スリラーで『マイアミ・ブルース』公刊。チャールズ・ウィルフォード作品の仏訳作業が始まる。
【1990年】
リヴァージュ社で専門誌「ポラール」を再興。
【1990年】
リヴァージュ・ノワール100番として『黒いダリア』が発表される。
【1991年】
リヴァージュ・スリラーでジェームズ・リー・バーク作品とエドワード・バンカー作品の仏訳作業が始まる。
【1992年】
セリ・ノワールの編集体制が変わったのに伴って仏作家の流入開始。ベナキスタ、ヴィラールを皮切りとしてオペルやカンが作品を発表していきます。
【1992年】
リヴァージュ・スリラーで『BP9』公刊。ジャック・オコーネル作品の仏訳作業が始まる。
【1993年】
ポラール誌でジャン=パトリック・マンシェットが書評の掲載を開始。本格的な執筆活動は10年振りとなりました。
【1993年】
翻訳作品のみを扱っていたリヴァージュ・スリラーに初めてフランス語オリジナルの作品(『群れの代価』、ユーグ・パガン著)が登場します。
【1995年6月】
ジャン=パトリック・マンシェット逝去。同年3月にはジャン・アミラも亡くなっており、仏ノワール界に大きな衝撃が走りました。
【1997年4月】
フランスでのミステリー普及を評価され、フランソワ・グェリフがエラリー・クィーン・アワードを獲得。授賞式で緊張していたグェリフをドナルド・ウェストレイクが和ませていたというエピソードが伝わっています。 
【2001年5月】
リヴァージュ・ノワール創刊15周年を記念し小冊子『リヴァージュ・ノワールの15年』が作成される。
【2001年6月】
ポラール誌の廃刊が決定。ミシェル・ルブランの没後は出版が不定期となり読者離れが進んだのが原因だったようです。
【2002年】
リヴァージュ・スリラーで『1974』公刊。デヴィッド・ピース作品の仏訳作業が始まる。
【2004年】
リヴァージュ・ノワール500番となる『亡霊として還る』(パコ・イグナシオ・タイボ二世)刊行。

【附録: リヴァージュ・ノワール関連、カタログ未掲載・非売品作品】
リヴァージュ社は時々イベントや新作プロモ用に短編を収めた小冊子を作成しています。書店レジなどで配布されたもので出版社のカタログに載ってない非売品。網羅的なリストではありませんので悪しからずご了承ください。
そういえば筆者は一度(2001年)リヴァージュ社に手紙を送ったことがあるのですが、公報担当の方から頂いた返信に『リヴァージュ・ノワールの15年』が同封されていました。
 「トーチ・ナンバー」
ジェイムズ・エルロイ著
(Torch number)
 「ブラック・ボックス」
トニノ・ベナキスタ著
「小人探偵モンゴの誕生」
ジョージ・C・チェスブロ
(The Birth of a Series
Character)
 
Coup de passion
/ James Ellroy
 [1990]
La Boîte noire
/ Tonino Benacquista
 [1997]
La naissance de Mongo
/ George C. Chesbro
[1998]

「死人は昔のままじゃない」
パコ・イグナシオ・タイボ二世著
 「ビリーのブルース」
ジョン・ハーヴェイ著
(Billie Blues)
「致命的な関係」
ジャン=ユーグ・オペル著
 
Les Morts ne sont plus ce qu'ils étaient
/ Paco Ignacio Taibo
[2001]
Billie's blue
/ John Harvey
[2002]
Fatale Liaison
/ Jean Hughes Oppel
[2003]

「グウェンに会うまで」
デニス・レヘイン著
( Until Gwen)
 「コンドル・ネット」
ジェイムズ・グレイディ著
「エルモア・レナードの
執筆十原則」
(Elmore leonard's
ten rules of writing)
Avant Gwen
/ Dennis Lehane
[2004]
Condor.net
/ James Grady
[2006]
Mes dix règles d'écriture
/ Elmore Leonard
[2009]

「リヴァージュ・ノワール
の15年」
15 Ans de Rivages/Noir
/ Collectif
[2001]
 

【最終更新】 2009-06-10
Photo : "Voici le temps des assassins" / Julien Duvivier, 1955
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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