怒りのコオロギ
ジャン・アミラ著

〔初版〕  1970年
ガリマール社(パリ)
叢書セリ・ノワール 1334番

Le Grillon enragé / Jean Amila
-Paris: Editions Gallimard.
-(Série Noire; 1334). -1970.

   

 「サルディニア島。どこにあるか知っている?」
 「・・・地図でなら」
 「高さ3メートルのサボテンがそびえている。海の綺麗な場所だよ」
 バリケードを挟んだ攻防で警官に怪我をさせられた。入院中に軍人風の男ミシェルがやってきて「仕事を任せたい」と依頼してきた。退院後、ミシェルに連絡を入れ内容を聞いていく。地中海のサルディニア島でルイジという男を監視するそうだった。
 トゥーロン港から船で出発。観光客の一団が一緒だった。コルシカ島、その後でサルディニアが見えてくる。リハビリに丁度良かった。浜辺でのんびり日光浴、仕事の話など忘れていた。「中々コンタクトが取れない状態です。まだ努力してみます」。ミシェルには嘘の報告を入れておいた。
 接触に成功、ルイジ宅に招待される。歴史家だそうである。パリでの「革命」の話をしてあげると目が生き生きとしていた。波長があうのに驚かされる。「密売に手を染めている」の前情報は嘘ではないか、何か罠が隠されているのではないか、疑いはじめた主人公。敵が一歩早かった。ルイジが事故を装った水死体として発見される・・・
 リベイラの名を騙り、偽の商談をでっちあげたのはジョンだった。男は1923年に沈没した船に隠された清王朝の財宝を探そうとしていた。独特の潮流に流されない船が必要だった。しかし財宝を追っていたのは一人ではなかった。ジョンが姿を消し、ヴィクトールも追われる立場となっていく…
 地中海の明るい太陽が印象的なスパイ・陰謀物の一変種。理想主義と危険な暴力が共存している主人公エリック君の造形が魅力的です。60年代から70年代初頭はアミラの充実期だったと思うのですが、本作も舞台設定や物語に冴えの見られる好編に仕上がっています。

Photo : "The Doorway To Hell" / Archie Mayo, 1930
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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