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雌獣死すべし
〔1983年〕 |
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ヴィルジニ・ブラック著 |
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元インドネシア従軍傭兵物
畸形ハードボイルド |
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[初版] 1983年
フルーヴ・ノワール社 (パリ)
叢書アングルナージュ 66番 |
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Mort d'un fauve / Virginie Brac
-Paris: Editions Fleuve noir.
-(Engrenage ; 66).
-190p. -11 × 18cm. -1983. |
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【あらすじ】 |
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ガソリンは満タン、東に向けて女はベントリーを走らせていく。
名前はカルラだった。 |
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インドネシア戦争中はCIAエージェントとしてソヴィエト軍秘密基地の捜索に関与。その後同僚米兵を殺した疑いでワシントンに拘束されていた。女は裁判所の指示を無視してNYに向かっていく。目的は二つあった。ジョニーとの間に子供を作るため。男がどう思っていても構わない。たとえ嫌われているのだとしても構わなかった。そう決めたのだから。邪魔する者は旧友でも許さなかった。 |
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第二の目的は裏切女フェリアルの処刑だった。空港に侵入。女が乗ったサウジアラビア航空機を爆破する。ファリアルが死んでいないと知るとすぐに病院を訪れる。包帯まみれの怪我人に火を点ける。
雪景色のNY、純白の病院が火に包まれ燃え上がっていく…。 |
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【講評】 |
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ブラックが80年代に残した畸形ハードボイルド。心理描写なし。アクションと対話のみを記述。しかし「アクション」と言っても女殺人マシーンの暴走です。「対話」といっても殺伐とした片言なのです。それでも後の秀作につながっていく「愛されない女」、「愛せない女」の主題がこの時点で強く現れています。90年以降だときれいに昇華されている怨念、執念が全開になってる辺りが恐ろしいです。 |
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この作風を考えてみると20年後、精神分析医ヴェラ物連作で人気作家になっている風景は結構不思議。ネオ・ポラール期に咲いた美しい異形の毒花。 |
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【最終更新】 2009-06-16 |
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