|
|
|
君の瞼に |
パスカル・デサン著 |
|
〔初版〕 1992年
ユベール・ラポルト出版者
〔再版〕 2004年
ペイヨ&リヴァージュ社(パリ)
叢書リヴァージュ・ノワール 493番
|
|
Les Paupières de Lou / Pascal Dessaint
-Hubert Laporte Editieur.
-1992. |
|
|
|
|
|
煙草を買って部屋に戻る。猫のブーレーズが冷蔵庫の上で気持ち良さそうに寝ていた。 |
ルーからの伝言が一つ。「夜になる前に会いたいな。猫には餌をやっておいたから。このお金は好きなように使って」。珍しい話もあるものだった。「会いたい」だなんて。4本足で毛むくじゃらな動物はあんなに嫌いだって言っていたのに。裏があるはずだった。机に向かう。仕事の続きにとりかかる。僕の仕事は代筆業、今回の仕事は老婦人が書いた論文の手直しだった。 |
無言電話がかかり始める。窓の外を見ると野球帽姿の男が一人立っている。どうやら見張られているようだった。 |
見張られる覚えはなかった。そういえばルーが最近姿を見せていない。あの子厄介ごとに巻きこまれている?普段体を売って生きている女性だから別に不思議でもなかったが…友人のセシルに相談。でも解決にはならなった。「ジュリアン!」、いきなり部屋に飛びこんで来たルー。「ボルドー行きの列車」、何の説明もありゃしない。慌てて旅行準備に取りかかる。でも駅にはたどり着けなかった。着替えを買おうとして立ち寄ったブティックでルーが射殺される… |
92年に発表されていたデサン処女作の復刊。生気に満ちたマジカルな言葉使いはすでに完成しています。前半部(青春エロ小説です)がやや弱いこともあって世界に没頭するまで時間がかかりますが、様々な要素(猫のブーレーズ、ルーの”瞼”が重要な小道具です)が絡み合ってくる中盤から波に乗り始めます。
|
|
|