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14時、県道で蛇の皮を見つけた。触わっただけで鱗が剥がれ、風に散っていく。 |
アントワーヌは道で見つけた生き物の死体を手帳にメモしていった。かつて名を馳せた理論派エコロジスト。現在では北部の湿原地帯に隠居、女と一緒に暮らしていた。 |
数時間車を走らせて帰宅する。部屋に閉じこもってしまった女。アントワーヌの作った食事にも手をつけようとしない。会話一つないほど関係はひどくなっていた。男はミリアムが実の娘モリセットに手紙を書いていることにも気づかなかった。 |
北の町ダンケルク。街は祭りの雰囲気に盛り上がっていた。モリセットは男友人2人とバーの強奪を計画。カーニバルのお面で顔を隠し、刃物を手に賑やかなバーに侵入。経営者は驚いた様子もなかった。一人の腕を掴み上げる。刃物を取り上げて腹に振り下ろす。 |
車の後部座席に横たわった血塗れの男。うわごとが続いていた。病院に連れていくこともできなかった。数日後、レジは失血死。残りは2人になった。「静かな場所を探そう」。モリセットは母親の手紙を取り出した。「湿原に向かって」。しかしそこでもアントワーヌの孤独が別な罪を生み出そうとしていた。 |
『罰で生きているわけじゃない』路線の陽気でエロエロ、絶望的な青春群像を一方に配し、生々しくも残酷な自然描写と対比させていきます。作品が進むにつれて次第に薄暗さが増していく感覚が心地良いです。作家デサンにとって一つの節目になりそうな秀作。 |
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