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変光星ミラ・セティ
〔2001年〕 |
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セバスティアン・ドゥビンスキー著 |
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ユーロ・ノワール、越境文学 |
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バレンヌ社 (パリ)
叢書「かくも近く/かくも遠く」 |
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Mira Seti / Sébastien Doubinsky
-Paris : Editions Baleine.
-(Si près/si loin).
-255p. -14 × 21cm. -2001. |
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【あらすじ】 |
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港町リスボン。私は薄暗い通りを歩いていく。深夜、純白のメルセデスが近づいてきた。後部座席には女の影が一つ。合図の言葉を交す。荷物と札束を交換する。香水の香り。紙袋を破くと古い革張りの本が現れた。『エスメラルダの書』。数日後に同じ本を見つけた。刳りぬかれ内側は中身は抜き取られていた。本だけではない。近くのゴミ捨て場には警官の死体が一つ。この残り香は… |
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港町タンジール。私は薄暗い通りを歩いていく。ビニール袋に詰めた十数個のダイヤモンド。荷物の授受が完了する。「偽のダイヤだって硬度は劣らないんだよ。だから音を聞くんだ。本物は歌うから分かるんだよ」。サングラス姿の老人がそう低く笑った。 |
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画家アレクスはかつて不用意な発言で彼女を死に追いやってしまっていた。もはや創作は不可能となる。筆を折り、港から港へと移っていく。不器用な運び屋として。タンジール、リスボン、サン・ナゼール、ニューヨーク…。港町深部を彷徨い、最後アレクスの軌跡はエスキモーたちの運命と混じりあっていく… |
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【講評】 |
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この小説の裏表紙には「画家アレクスの肖像」という抽象画の写真が掲載されています。本文中で美術館を訪れた際の記述も生々しく、途中から「この画家実在する?モデル有り?」と途中から混乱し始めました。普段虚構と現実を混同することはないのでこれはしてやられたり。 |
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ドゥビンスキーという作家の名を初めて知った一作。お爺さんはスペイン革命で活躍したロシア人コミュニストだそうです。この作品執筆時はデンマーク在住。ロマン・ノワールが想像力による越境と孤独の文学である事実を久々に思い出しました。 |
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【最終更新】 2009-06-17 |
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