〔ル・ソヴィエト 1〕
卑怯な輩は殺してしまえ
コロネル・ドゥルッティ著

〔初版〕 1986年
フルーヴ・ノワ−ル社(パリ)
叢書アングルナージュ 130番

〔再版〕 1997
ガリマール社(パリ)
叢書セリ・ノワール 2469番

Tuez un salaud! (Le Soviet 1) / Colonel Durruti
-Paris: Editions Fleuve Noir.
-(Engrenage; 130).
-18 × 11cm. -1986.

Rééd : Gallimard, Série noire 2469, 1997

   

 パリ、シャトレ駅。カバンを手にした男が列車を降りて出口へと向かう。ふと視線が止まる。見慣れない薄紫のポスターが一枚。普段は路線図など貼っていない場所なのだが…目を凝らしてみる。「卑怯な輩は殺してしまえ」の文字があった。。
 「君が邪魔だと思う人を殺せば他の連中にとって邪魔な人間を殺すことにもなる。人助けではないか」、最後に「明日、国家レベルの卑怯者を殺す」の予告があった。パリ中、いやフランス中に同一のポスターが張り出されていた。
 だれもが冗談だと思っていた。だが上院議員のジャン・アネが射殺される。殺人予告の実現。翌日からフランス全土で「卑怯者殺し」が始まった。
 ポスターを貼っていた男を逮捕する。供述から背後の組織が見えてくる。「ル・ソヴィエト」と自称するアート系テロ集団だった。同日、新聞に犯行声明を発表。薄紫のポスターで引き起こされた全ての罪は引き受けるとの内容だった…
 「ル・ソヴィエト」と対テロ部隊の丁々発止を描いた連作の第1弾。ペンネームの背後に隠れているのはSF作家エマニュエル・ジュアンヌとイヴ・フレミオン(作品中に二人が登場してテロ事件を追跡し始めます)。80年代作品をセリ・ノワールが復刊するのは珍しいのですが、内容を読んで納得。魅力的なアイデアを無駄のない端整な文章で語りきっています。

Photo : "The Doorway To Hell" / Archie Mayo, 1930
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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