ダイエットと跳弾
ソフィ・アンドゥリス著

〔初版〕 2007
プロン社(パリ)


Diététique et balle perdue / Sophie Endelys
-Paris: Plon. -(Roman noir).
-307p. -14 X 23cm. -2007.

   

 マチルドの母がトラックに轢かれて亡くなった。ダイエット研究家として名を知られていたこともあって葬式には結構な人数が集まっていた。小柄な年配の女性が一人。
 「伯母…さん?あの人って一人娘じゃなかったですか」
 「竜を日干しにしたあんたのお母さんとは何の血の繋がりもありませんよ」
 以前に亡くなった父親の姉に当たるそうだった。一息ついて周囲を見渡すともう伯母の姿は見当たらなかった。走り書きした伝言が一枚だけ残されていた。
 伯母ロリーとの手紙のやりとりが始まった。パリに出たついでに顔を出そうとしたマチルドだったが…大通りで発生した銃撃戦に撒きこまれ、跳弾を受けたマチルドは病院で目を覚ます。男が一人不安気にこちらを見つめている。この人誰?旦那?自分が結婚しているとは知らなかった。おかしい。最近の記憶がなかった。
 銃撃戦はチンピラ同士の清算、で片付くはずだった。だが警官セバスティアンは幾つか不審な点を発見する。狙われたのはマチルダだったのでは?被害者の伯母ロリーの助力を受け、マチルダの過去を洗いにかかる。30年前、まだ彼女が子供だった頃一緒に住んでいた同年代の少女アナが失踪。古い事件が蘇ってくる。
 退院後、マチルダは実家での療養を続けていた。体調は回復していたが記憶が完全には戻らなかった。ある日、亡くなった父の書斎で物音が聞こえた。誰もいないはずなのに。「誰かいるの?アナ?」、静かにドアを開けていく…
 面白い題名だなと思って入手しました。前半はユーモアを多分に交えた穏健派ミステリータッチ。後半マチルダが不安定になり始めた辺りからノワールな感じの不穏な影が立ちこめてきます。題名通りダイエット話が充実しているのですが、司法系の裏話、絵画史や精神分析史(ラカン)の話も組みこんで読み手を飽きさせません。錯覚/騙し絵を利用した最後のトリックも見事。掘出し物、といった感じの一作。

Photo : "The Doorway To Hell" / Archie Mayo, 1930
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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