赤い花嫁
エルヴェ・ジャウアン著

〔初版〕 1979年
ジャン・グジョン社 (パリ)
叢書アングルナージュ 1番

La Mariée rouge / Hervé Jaouen
-Paris: Editions Jean Goujon.
-(Engrenage ; 1).
-185p. -18 × 11cm. -1979.

   

 鏡を前に花嫁がポーズを取っている。田舎風の巻き毛が揺れていた。正装でやってきた父親。「たかが結婚式で面倒な」の本音は隠しておいた。娘の晴れ姿なのだから。半日後、まさかこの子の喪に服すとは思っていなかった。
 ブルターニュの中心都市カンペール。駅前のカフェで茶を啜るカップル。首都から流れてきた二人組、麻薬ディーラーをだまして逃げてきた途中だった。女の指が伸びてくる。ジッパーを下ろす。ゆっくりとペニスが膨らんでいく。
 「客がいる。見せてやろう」
 離れたテーブルに座っていた三人組を挑発していく。大麻を回してやった。気分が良くなってくる。何でも出来そうな気分。ほら、車が一台近づいてきた。新郎新婦を拉致にかかる。
 悲鳴が上がっている。全てをカメラで記録していった。花嫁を犯していく。茫然とした花婿。男を地面に押し倒す。肛門にペニスを捻りこんでいく。笑い声が響いている。花婿に銃を渡してやった。「ロシアンルーレット。知ってるな。引金を引いてみろ」。
 1979年、地方銀行の一行員が十日間で完成させたデビュー作。原稿はアレクス・ヴァルーの目に留まり新叢書第1番として発表されました。フランスの文化がパンク/シチュアショニズムの衝撃で揺れていた時期、「ネオ・ポラール」の代表作として以後何度も版を重ねていくことになります。
 悲劇の構成力、時制の処理、省略の感覚、視点の鋭さ…何をとっても興味深い一作。ポルノ?今は昔、仏ノワールが現実を鷲掴みにした一瞬は夢ではなかったと思います。

Photo : "The Doorway To Hell" / Archie Mayo, 1930
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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