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神の子羊 |
ヤスミナ・カドゥラ著 |
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〔初版〕 1998年
ジュリアール社(パリ) |
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Les Agneaux du seigneur / Yasmina Khadra.
-Paris: Editions Julliard.
-215p. -1998. |
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丘のふもとに三人の幼馴染が集まっていた。 |
カダは煙草を吸いながらボンヤリと思案中、ジャフェルはカサカサに荒れた手のひらを見つめている。警察に就職したアラルが膝を抱えて座っていた。二十代後半、家に帰れば「誰か良い人はいないの?」と結婚をせっつかれる年になっていた。 |
聖者として崇拝されているアバスが村に戻ってきた。熱心なイスラム教徒たちが集まってくる。「君の誠実さは素晴らしいですね」、警官アラルはコーランをプレゼントしてもらった。サラの心を射止めたのがアラルだったのも不思議ではなかった。 |
プロポーズ合戦に敗れたカダがアフガンに旅立っていった。従軍から戻ってきた時には人が変わっていた。男は村に戦争を連れてきた。橋の上に袋が置かれている。中に導師ハジの生首が詰めこまれていた。虐殺の開始だった・・ |
ゆったりとした前半部、そして中盤以降に悲劇が加速していくリズム感が素晴らしいです。最初主人公だと思っていた四人(アラル、カダ、ジャフェル、サラ)が次々と死んでいく展開に頭がクラクラと。最後に生き残るのは?予想外の驚きが読み手を待ち受けています。 |
1988〜98年、アルジェリア情勢が最悪だったあの10年。空気に満ちた緊張感、やるせなさが当時の雰囲気を伝えています。カドラの最高傑作、98年の直感は今でも正しかったと思っています。 |
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