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テロル |
ヤスミナ・カドゥラ著 |
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〔初版〕 2005年
ジュリアール社(パリ)
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L'Attentat / Yasmina Khadra.
-Paris: Editions Julliard.
-268p. -21×14cm. -2005. |
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爆音。病院の壁が揺れ、ガラスがカチャカチャと音を立てた。 |
顔を見合わせた。テル・アビブのテロ事件は珍しいものではなかったが、今回は現場が近そうだった。医師アーミンは同僚キムと共に階下へと下りていく。院長のエズラが慌しく指示を出していた。救急車が次々やってくる。背中の皮の剥けている男が「早く早く手術を」と看護婦を捕まえている。アーミンは眩暈を堪えながら手術を続けていく。病院を出たのは午後10時だった。 |
午前3時20分。寝ていたところを電話で叩き起こされる。病院から、警察のナヴィードだった。「今日は疲れてる」、そう応えたのだがナヴィードは引き下がらない。嫌な口調だった。病院に向かったアーミン。「奥さんは?」、「実家に戻っているはず」。病室で見せられたのは…手足の千切れた妻の死体だった。今回のテロ事件、爆発物を所持していたのは彼女だと言う話だった。 |
妻がテロ実行犯?ありえない話だった。数日後、妻からの手紙が届く。「恨まないで」。短い手紙に告白と思われる一文が残っていた。消印はベツレヘム。自分の知らなかった妻の姿。アーミンはベツレヘムへと向かう… |
冒頭から緊張感が持続しているカドゥラ作品は久し振り。主人公による極私的な調査は妨害(闇討ち、監禁)を受けながらもテロ組織背後にある意外なネットワーク網を垣間見せてくれます。カドゥラ作品としては久々の快音。 |
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