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苦い心 |
エマニュエル・ロワ著 |
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〔初版〕 2004年
レオー・シーア社(パリ)
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Le Coeur amer / Emmanuel Loi
-Paris: Editions Léo Scheer.
-174p. -21 × 14cm. -2004. |
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「独房での最初の夜。カーキ色をした亜麻の厚いシーツ。裸電球。鍵が鉄を擦っていく音。こんなのが一生続くのか、そんな気もしてくる」 |
窃盗・隠匿の容疑で4年の刑を科されていたユーゴ系青年のパヴェル。ある日、判事が面会にやってきて「お前にはもっと大きな仕事が相応しい」、謎の言葉を残して去っていく。 |
出獄後、パヴェルの周りに旧友が集まってくる。隣にはピエロがいた。口数の少ない不器用な男だが振動発信機と電気ノコを使ってどんな金属でも切断してしまう。反対側には恋人のマリ。「誰も怖がって手を出さない場所を襲いましょう」、 |
現在地、セーヌ河畔。対岸に大蔵省の建物がそびえていた。地図を用意してきたのは判事ハジだった。駐車場の排水溝から地下に潜り、ピエロは鉄柵とコンクリート壁を切断していく・・・ |
人物4人の視点が切り替わり、それぞれの運命が語られていきます。心象風景の断片が積み重なっていく中で生み出されてくる強盗劇。やや漠然としていますが個々の描写、セリフには重みがあります。虚無主義で淡く染められた首都の闇世界、印象的な佳編。 |
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