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死なせてあげる
〔2001年〕 |
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マルク・メノンヴィル著 |
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スイス、第二次大戦
強制収容所、ユーロ・ミステリ |
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バレンヌ社 (パリ)
叢書「かくも近く/かくも遠く」 1番 |
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Je te permettrai de mourir / Marc Menonville
-Paris : Editions Baleine. -(Si près/si loin; 1).
-257p. -14 × 21cm. -2001. |
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【あらすじ】 |
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1946年、終戦直後のスイス・ヴォー州。合衆国から届けられた食糧、薬品が箱で詰んであった。建物の周囲は高さ3メートルの柵で張り巡らされている。収容所内にはロシア、アルバニア、ポーランド、チェコから流れてきた人々が集まっていた。 |
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この中には国際的に有名な独ピアニスト、クルトの姿があった。従軍中に指を失ったため演奏家としての道は絶たれていたが、音楽教師としての活動を続けている。この収容所でユダヤ人女性のカルラと知り合いになる。半世紀を共にするピアニスト、伴侶との出会いだった。 |
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クルトはこの後スイスを代表する指揮者となっていく。市民オペラ劇場の専属指揮者としてタクトを振るった「トスカ」、「アイーダ」、「カルメン」が批評家の絶賛を受ける。マリア・カラスが役を望んでいるという噂も流れていた。男の側にはいつもカルラの姿があった。二人には謎も多かった。夫婦の過去、生活資金源は不明だった。真実に近づきすぎた者は抹殺されていく。1999年、クルトとカルラが自宅で惨殺される。短刀の先で血の鍵十字が残されていた。県警のポール警視が歴史を遡り、謎を解き明かしていく… |
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【講評】 |
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歴史、政治、芸術史の背景を完璧に調べた上で繰り出される端正なミステリー・ドラマ。相当のポリグロット(英・独・仏・西…)で様々な言語が飛び交い物語のテンポが乱れるのは旧作からの悪い癖。本作はそこまで気になりませんでしたが。 |
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クラシック好きな作者の趣味が強く出ています。個人的にはジャンゴ・ラインハルトのジプシーギターをピアノ用に採譜、編曲した件、カラヤンの過去にまつわる思わせぶりな一節を興味深く読みました。 |
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【最終更新】 2009-06-17 |
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