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スイス・トラッシュ
〔2000年〕 |
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ドゥニア・ミラル著 |
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スイス、薬物禍、ボスニア紛争 |
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バレンヌ社 (パリ)
叢書 究極 2番 |
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Swiss trash / Dunia Miralles
-Paris : Editions Baleine.
-(Ultimes; 2).
-203p. -12 × 18cm. -2000. |
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【あらすじ】 |
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飲み屋で男が叫んでいた。「反対車線を全速で走ってやるよ」。ミシェルは甘えたかっただけだった。慰めてほしかっただけだった。「無茶は止めて、好きだからお願い」。女がそう泣いて頼めば収まる話だった。でも仕事で疲れていた。ヴェロニクは何も言わなかった。ムキになった男は車に飛び乗った。本当に車道を逆送し始める。カーブで起こった事故は致命的だった。 |
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ミシェルの葬式が終わった。心が空っぽだった。ヴェロニクは男から男へと身をゆだねていく。新しい出会いがあった。心に傷を負った女たち。酒、ドラッグ、男を貪っていく女たちとの出会いがあった。1991年。ラジオからはボスニア紛争のニュース、オルタナ系のギターロックが交互に流れていた。 |
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「ヘロイン、エクスタシー、コカイン、アンフェタミン。嚥下する。注射する。吸引していく…女はどんどん美しくなっていく。痩せ細っていく。自然の優雅には敵わない。所詮作り物の美しさだった。それでも綺麗ではない少女たちの心はそれでくすぐられるのだった」 |
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【講評】 |
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スイスは欧州圏ではオランダと並んで薬物規制の緩い国として知られていました。ヘロイン、コカイン漬けのハイジ少女、ペータ少年の物語が生まれてきても不思議はありません。 |
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こういった作品は『トレイン・スポッティング』以後に幾つか書かれていたような気がします。本作では女性の自己破壊衝動が前面に押し出され、自己の内側にある空虚を「何か」で満たそうとする女たちの戦いが描かれていきます。スイスという設定も悪くありませんし、ジャンキー小説として切り捨ててしまうには惜しい一作です。 |
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【最終更新】 2009-06-16 |
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