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獣都市 |
ギョーム・ニクル著 |
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〔初版〕1996年
バレンヌ社(パリ)
叢書アンスタンタネ・ドゥ・ポラール 22番 |
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Zoocity / Guillaume Nicloux
-Paris: Editions Baleine.
-(Instantanés de Polar; 22).
-303p. -18 × 11cm. -1996. |
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1943年以来の大雨が降っていた。 |
ジュークボックスが鳴っていた。カウンターの背後ではバーテンがTVを見つづけている。奥で女が泣いていた。腫れた唇でビールを飲んでいた。殴られた跡だった。バーに入ってきた男が一人。髪が濡れていた。女に近づいていく。顎を取ってゆっくりと抱きしめる。 |
男の名はレイ。牢獄で八年過ごした経験があった。出獄後にこの獣都市に流れてきた。「冷蔵庫にビールが」、そう言い残し、女を残して部屋を出た。 |
双子の警官が町をパトロールしていた。怪人物がうろついている。そんな通報があった。ヘッドライトを向ける。雨の先、逃げていく影が見えた。二手に分かれ追跡開始。影を見失う。兄を呼んでみた。返事がなかった。足元に転がっていた。腕を組んだ男が倒れていた。兄の両手首は切断されていた… |
ニクルのデビュー長編。『聖なる乳の名において』同様に監獄を実体験したのではの凄みを帯びた世界です。結末部に納得のいく説明がなく、全てが暗示と判じ物として終わっていくのですが…謎は謎のまま残しておくほうが美しいのかもしれません。 |
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