|
|
|
フレンチ・タブロイド |
ジャン=ユーグ・オペル著 |
|
〔初版〕 2005年
ペイヨ&リヴァージュ社(パリ)
叢書 リヴァージュ・スリラー |
|
French Tabloïds / Jean-Hugues Oppel
-Paris : Editions Payot & Rivages.
-(Rivages/Thriller).
-351p. -24 × 15cm. -2005. |
|
|
|
|
|
2001年春、新聞ではワインと携帯電話が話題になっているのどかな時世、だが背後では翌年の大統領選を睨んだ駆け引きと謀略、情報戦が始まっていた。 |
現大統領の勝利を確実なものとするため、サクレ・クールに面した一室に三人の男が集まってきた。「三巨頭」。大統領選の焦点は治安問題だった。TV、新聞、ラジオで治安の悪化を繰り返し報道し、国民の不安感を煽り立てていく。 |
この不安を現実にしなければならなかった。警視庁ルロワ警視はマインドコントロールの専門家ピアス・グッドホワイルに連絡をいれた。標的はヴィクトール・クルカイエ。身寄りのない失業者で唯一の趣味は射撃だった。最新の銃器を見せてやる。警察の射撃場に案内していく。ほら、男の目が輝きはじめる。微かな狂気があった。 |
選挙直前、新聞紙上では国内の犯罪率増加が問題となっていた。警官たちが襲われ、商店が荒らされていた。02年の3月、パリ市議会で銃の乱射事件が発生し8人が死亡。犯人の名は…ヴィクトール・クルカイエ。 |
エルロイの『アメリカン・タブロイド』を念頭におきながらも筆致は完璧なフレンチ・タッチ。明晰かつなめらかな文章で大統領選背後の犯罪模様を描き出していきます。合間にはこの期間の物故者(『トム&ジェリー』原作者のハンナ、ジョーイ・ラモーン、ジョン=リー・フッカー、ビリー・ワイルダーなど)の言及があり、作品に適度なリズムを与えています。傑作! |
|
|