迷走列車、死のワゴン
ジャン=ベルナール・プイ著

〔初版〕 2003年
鉄道人生社(パリ)
叢書「黒線路」 3番

Train perdu, wagon mort / Jean-Bernard Pouy.
-Paris: Editions La Vie du Rail.
-(Rail Noir ; 3).
-146p. -2003.

   

 平原で一台の寝台車が遭難していた。
 パリを出発しゾルダヴィアに向かう寝台列車。大学教授(地政学専門家)フランソワが目を覚ます。通路で慌しい物音、数少ない乗客がパニックに陥っていた。停止中の列車。運転手の姿は消えている。乗客の叫び声が一度。接続部が切断され、寝台車は名も無い平原の只中に置き去りにされていた。
 「すぐに助けがくるさ」
 期待も虚しく時間だけが過ぎていく。地平線上に静止していた光が消える。数機の戦闘機が頭上を通り過ぎていく。何も起こらない。助けなどやって来ない。車内に残された数人の乗客はミーティングを開き、水と食料をかき集め、生き延びるための戦略を練り始める…
 「4月12日。これから何が起こるのか分からないけど…一つ提案があるんだ。僕たちに何が起ころうと、来年のこの日、正午、十二時に再会しよう。待ち合わせ場所は…パリにしておこうか。我々の出発した東駅。あの12番ホームで」
 出来不出来の差が大きいここ数年のプイさんなのですが(作品数多すぎ)、予想もしていなかった良作を地味な叢書から出してきたりします。ロビンソン・クルーソー+幻想風味+戦争・スパイ小説の『迷走列車、死のワゴン』は出色の出来。登場人物が勝手に動き始めて驚きを次々生み出していきます。草原のど真ん中に放置されていたトラクターを回収、寝台車の牽引を始める場面はヘルツォーク映画を彷彿させます。
 テロの世紀のサバイバル・ゲーム。一人で生き延びても意味はない。協調、協力し、何かを一歩前に進めていく。君と一緒に生き延びていく。連帯のサヴァイバル・ゲーム、こうなるとプイにしか書けないです。

Photo : "The Doorway To Hell" / Archie Mayo, 1930
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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