一昼夜
ジャン=ベルナール・プイ著

〔初版〕 2004年
コントルバンディエ社(パリ)

Nycthémère / Jean-Bernard Pouy
-Paris: Editions Les Contrebandiers.
-183p. -21 × 14cm. -2004.

   

 二人はレストランを出た。どこに向かうでもなく広場を横切っていく。灰色のボルボが一台近づいてくる。パワーウィンドウが下りてニット帽の男が封筒を差し出してきた。「レイモンの召集だ」
 9月4日、ヴァンデ県で極右青年が射殺される。9月10日、アルプ・マルティーム県で反ユダヤを標榜する青年が焼き殺される。9月16日、「レッドハウス」と「ヴェリー・レッド・ハウス」の対立で左派青年が墜落死する。9月26日:ピレネー・アトランティーク県で無政府主義者の青年が絞殺される…
 そして10月6日。ジロンド県に革命者が集まっていた。輪の中心には語り部レイモンがいる。記念すべき新年、新たな暦の第一日目が始まった。革命者はそれぞれの《一昼夜》を過ごし始める…
 JBプイは老いてきています(作品が。良い意味で)。特異な黒さを持つ作家ですが、淡々とした渋みを帯びて枯れた境地に入ってきています。00年『悪魔と朱』の前後から見えていた傾向が本作で加速。『一昼夜』は過去の著作を集約にかかっていて、国内の政治対立をフィクションとして読み替えながら(『スピノザはヘーゲルのカマを掘る』)、語りを重層的に設定し(『我ら聖女を焼けり』)、物語の時間軸に特殊な意味を持たせる(『フォントネの美女』)…旧作のデジャ・ヴュを重ねながらも新たな質感の作品を仕上げてきました。
 革命者が桃源郷で過ごした一日を描いた小説。21世紀の革命者は木の葉の隙間から月を見て物思いに耽っています。「気狂いピエロ」を思い出して浜辺で抱き合っています。リンゴの木を育て始めます。虐待されていた少年が両親を殺してしまったのを救い出します。全てが「一昼夜」の間に過ぎていく。淡く、優しく、シニカルで悲しい革命の物語。批評家の一人が「プイ著作で最も闘争的な書物」と呼んでいたのも間違いではないはずです。  

Photo : "The Doorway To Hell" / Archie Mayo, 1930
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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