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ニース=東
〔1988年〕 |
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パトリック・レナル著 |
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地方主義(南仏、ニース)、探偵物
地上げ、人種差別、アラブ人コミュニティー |
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カルマン・レヴィ社 (パリ)
叢書 SOS=レイシズム |
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Nice-Est / Patrick Raynal
-Paris : Editions Calmann-Lévy.
-(SOS-racisme).
-135p. -1988. |
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【あらすじ】 |
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探偵会社勤務の冴えない男スピネリ。「家賃を払わないアラブ人たちを何とかしろ」と上司から命令が下った。ニースで最も汚い一画に足を踏み入れるはめに。思っていたほど楽な仕事ではなさそうだった。前任者が失踪していたとか、そういう話は先にしておいてほしかった。 |
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「スピネリさん。何か言いたそうな顔だね」
「あぁ。アラブ人って敬語が使えないと思ってた」
「なるほど。私もイタリア人って奴はちょっとでも危険があると逃げ去るのかと思ってましたよ」
「お互い間違ってた、か」 |
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依頼の背後には移民除去の画策があった。怪しげな連中が地上げの徘徊を始めていた。関係者一人は自宅で喉を切られた姿で発見される。御丁寧にもスピネリに容疑が落ちるよう舞台を拵えてあった。火の粉を払うため、スピネリはアラブ人に手を貸して殺人者、黒幕たちを追い詰めていく… |
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【講評】 |
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太陽があり、陽射しに押し潰されたみすぼらしい家々がある。南仏はアメリカ西海岸とも重なってきます。レナルは第3長編、『ニース=東』でこの街そのものを主人公に据えてみせました。 |
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おんぼろのプジョーで東へと向かう。雰囲気が変わっていく。テラスの無いレストランが増え始める。ボロボロの建物が互いに支えあっている。カーステレオから流れているのはトム・ウェイツ。メイド・イン・USAを咀嚼した上で現代社会を撃ちまくるレナル流ノワール。この前後のレナル作品はヒリヒリした文体がとても居心地良いのです。 |
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【最終更新】 2009-06-16 |
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