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リュジュ・アンフェルマンとラ・クロデュック
〔1971年〕 |
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ピーエル・シニアック著 |
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モンスター放浪犯罪小説 |
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ガリマール社 (パリ)
叢書セリ・ノワール 1454番 |
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Luj Inferman' et La Cloducque / Pierre Siniac
-Paris : Editions Gallimard. -(Série Noire; 1454).
-244p. -1971. |
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【あらすじ】 |
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晴れ上がった空、乾いた道。夏はすぐ近くだった。リュジュ・アンフェルマンは道端で親指を立てる。停まってくれそうな車は一台もない。諦めたように歩き始める。パリを離れてこれで一週間。放浪にも疲れ果て、そろそろ首都に戻ろうと思っていた矢先だった。 |
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森の中、「そいつ」は巨大な倒木にまたがっていた。巨人?この気温でも空色のコートを羽織り、深々と帽子をかぶっている。手にしたボクシング・グローブには小鳥の死体が一つ。巨人はゆっくりと食べていた。生の小鳥を食べていた。こちらへと向けられた視線。 |
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「お前さんもお腹空いているか」
「いや。鳥は鳥かごにいる方が好きなもので…」 |
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両性具有の巨人、ラ・クロデュックとの出会いだった。誘拐された自分の娘を探している真っ最中。娘さんは現在は南仏の修道院に閉じこめられているそうだった。パリからリヨン経由で南仏エクサン・プロヴァンスへ、奇妙な二人組の冒険が始まる。 |
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【講評】 |
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シニアックが生み出したモンスター放浪犯罪小説の第一弾。「アンフェルマン」という名前には「人間より下」のニュアンスが含まれています。「ラ・クロデュック」は「女性性+乞食+公爵」に近い感じ。ジャン・ルノワールの『素晴らしき放浪者』や初期チャップリンに影響を受けた「放浪物語」をキッチュにモンスター化していく、というのがシニアックの作戦でした。 |
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ラ・クロによる「娘さん探し」は口実にすぎず、途上で二人組が巻きおこしていく大騒動に焦点が置かれています。興味深いのはボヘミアンの視線で語られる都市や自然風景に不思議な詩情がにじみ出ている所。決して自然愛好家の作家ではない(元放浪者にとって恐ろしい「敵」なので)のですが、この一作目だけは特別。後にシリーズ化されていった作品と手触りが大分違っています。 |
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【最終更新】 2009-06-17 |
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