屍体は凍らせておくに限る
〔1974年〕

ピエール・シニアック著
     ループする自動殺人システム

〔初版〕 1974年
ガリマール社 (パリ)
叢書セリ・ノワール 1682番

Les Congelés / Pierre Siniac
-Paris: Editions Gallimard.
-(Série Noire : 1682).
-182p. -1974.

【あらすじ】
 フェードラは零落した貴族一家の一人娘だった。底辺の生活(娼婦、ストリッパー)を舐めるもそこから自力で這い上がっていく。現在はパリで結婚相談所を経営、そこそこの収入を維持している。  
 フェードラと恋仲に落ちたのが無名俳優のアルフレッド。銀幕での端役を夢に見て、オーディションの最終選考で強敵に出会うたびに「こいつさえいなければ」…と殺人に手を染め始めている。  
 アルフレッド唯一の友人はメーキャップ・アーチストの老ヴィクトール。悪事に荷担したのが露見し映画界から放逐されたものの、犯罪者の整形や政治家の影武者作りなど「裏家業」で活躍を続けている。  
 ある日棚ボタの大金がやってくる。フェードラの元に思いがけない遺産相続の連絡が届いたのだ。合衆国に住んでいる伯父が危篤状態、一つの条件を満たせば姪を正式な相続人にするという話だった。この条件とは「フェードラが既婚であること」。伯父が死亡した段階で未婚だった場合、莫大な遺産全額は施設に寄付される。フェードラとアルフレッドの恋愛関係は破局寸前だった。女はうだつの上がらない貧乏俳優を見切って別な婚約者を探そうとしていた。一方アルフレッドは是が非でも女と結婚し遺産のおこぼれに預ろうと決心するが…
 …遺産のおこぼれに預ろうと決心するが、その直後、フェードラと親しげにしている片眼鏡の男を見つけて愕然とする。ベルトランと名乗った男はその筋で名の知られた悪党だった。日々親密さを増していく二人を前に臍(ほぞ)をかむアルフレッド。嫉妬が募り、敵意は殺意へと変わっていく。男を決心させたのはフェードラとベルトランの密談だった。二人は「あの目障りな俳優」をどう始末するか相談していた。「役立たずのアルフレッドを消してくれたら結婚してあげる」、フェードラが条件を出していた。先手必勝、ベルトランを返り討ちにしたアルフレッド。とは言えライバルを消しただけでは問題の解決にはならなかった。
 友人ヴィクトールに助けを求めた。神業のメーキャップでベルトランに成りすまし、俳優の経験を生かして声音、立ち振舞いまで死者そっくりに模倣してみせる。死体は人目につかない高山へ運んでいった。足元に広がっている急流と淵、氷の塊が見えていた。凍てついた淵に死体を投げこんでしまう。これでフェードラと結婚できる、ホッと一息ついて戻ったのだが… 
 …ホッと一息ついて戻ったのだがフェードラと親しげにしている司教風の男を見つけて愕然とする。ブクランと名乗った男は教会と美術館荒らしで知られた小悪党だった。日々親密さを増していく二人を前に臍(ほぞ)をかむベルトラン(=アルフレッド)。[中略]。「あの役立たずのベルトランを消してくれたら結婚してあげる」、フェードラが条件を出していた。先手必勝、偽司教を返り討ちにしたベルトラン(=アルフレッド)。とは言えライバルを消しただけでは問題の解決にはならなかった。「約束どおり男を片付けた」、フェードラに完了報告を入れると「本当に殺したのなら証拠の死体を見せて」と要求される。
 今回もヴィクトールの力を借りようとしたのだが…旅行中だった。八方塞がり、ひとまずは死体を処理しようと以前の高山へと向かう。ふと気が付くと淵の手前に第一の死体が転がっているのが見えた。冷たい雪に覆われた死骸は驚くほど綺麗に保存されていた。これは使える。アルフレッドは「凍りついた」死体を引きあげにかかる。解凍した第一の遺体をフェードラに見せて最初の難関を突破。次いでヴィクトールの力を借り、今度は司教に成りすます。俳優の経験を生かして声音、立ち振舞いまで宗教者そっくりに模倣してみせる。「証拠」=第一の死体(ベルトラン)は完全に処理しておいた。第二の死体(司教ブクラン)は念のため「冷凍保存」しておいた。予想通りだった。殺人の後始末を終えて戻ったところフェードラと親しげにしている… 

【講評】
 シニアックが70年代前半に残したとても美しいメカニカルな殺人物語。上の長い「あらすじ」は初期設定〜本体部前半で、まだまだ物語は何度も反復と変奏を繰り返していきます。最後の5ページが短い「解決篇」となっており、それまでの記述を覆す形で真犯人による事件の語り直しが行われていくことに。  
 シニアックは80年頃から私立探偵を作品に登場させ、常識離れした機械状殺人システムの構築にとりかかっていくのですが(この系譜の最高峰が『ウサギ料理』です)、その先駆形として重要な一作。フランスでも絶版後再刊されていないのが惜しいくらいの面白さ。  

【最終更新】 2009-06-17
Photo : "Brute Force" / Jules Dassin, 1947
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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