最後の老狂人
アレクス・ヴァルー著

〔初版〕 1980年
ジャン・グジョン社 (パリ)
叢書アングルナージュ 18番

Le Dernier vieux fou / Alex Varoux
-Paris: Editions Jean Goujon.
-(Engrenage; 18).
-221p. -18 × 11cm. -1979.

   

 窓の外に工事中の一画が見える。2DKの部屋で4匹の猫がウロウロとしていた。
 老グレゴワールは本を片手に夢想に浸っていた。喜寿に近づいていた。それでも夢を忘れられない老人だった。
 向かいの建物にはよく本を借りに来る少年ディディエが住んでいた。13才にしては早熟で(借りに来るのもエロ本だった)、数人の仲間と組んで奇妙な新聞を作ったりしていた。ある日、老人の部屋に少年が息を切らせてやってくる。「大事件だ!」。いつも駆けっこをして遊んでいる小さな広場の取り壊しが決定。老グレゴワールにとっても「息抜き」の場所だった。
 銃声が響く。老人の手で拳銃が煙を立てていた。
 老人は少年たちの力を借りて大きな博打にかかる。子供たちを人質に取った(振りをして)脅迫を開始。パトカーが群れてくる。母親たちは両手に顔を埋めて泣いていた。計画は順調…のはずだった。取壊し工事の責任者、デュクロ氏の娘とやらが乱入してから話がおかしくなってくる。全国TV局のカメラが回り始める。ディディエは「広場解放宣言」を書き始めている。地元だけでは収まらない程大きな出来事になり始めていた・・・
 この前後のヴァルー作品だと『今夜は駄目だよお前…』が有名ですが、今読んで褪せていないのは本作の方です。地元少年たちのため、夢想癖のある老人が一肌脱いで銃を手に立ち上がります。この作家にしては珍しいほどロマンチック、お得意のお笑いは隠し味程度。語り口の柔らさも居心地が良く、シルバー時代の野蛮なお伽噺になっています。

Photo : "The Doorway To Hell" / Archie Mayo, 1930
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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