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『四大河』
〔2000年〕

フレッド・ヴァルガス(原作)
&エドモン・ボードワン(画)
     BD、アダムスベルグ警視物
ジャンク・コラージュ・アート

〔初版〕 2000年
ヴィヴィアヌ・アミィ社 (パリ)
叢書「薄暗い小道」

Les Quatre fleuves
/ Fred Vargas & Edmond Baudoin.
-Paris: Editions Viviane Hamy.
-(Chemines nocturnes)
-224p. -20 × 13cm. -2000.

【1コマ目】 「青年、来てもらおうか」
【2コマ目】 ハッと振り向いたグレゴール。警官に気がついた。
昨日の朝建物の下で指示を出していた警官だった。
ベストのポケットを探って手帳を取り出した男。
【3コマ目】 「警視のジャン=バプテスト・アダムスベルグ」
「ちょい待てよ!何もしてないって。ただ見てただけだってば!」
「見つめすぎだよ。来るんだ」
 『四大河』、29ページ

【あらすじ】
 パリ。待ち合わせは噴水前だった。ローラースケート青年がグレゴール。バイクでやってきたのがヴァンサン。二人は喫茶店に入っていく。奥の席に禿げ上がった老人が一人。今日の「標的」だった。二人は路上でのひったくりで小銭を稼いでいる。普段通りに動けば何の問題はないはずだった。  
 玄関前で袋をひったくって逃走。中身は3万フラン。並以上の収穫だったが…内容はそれだけではなかった。胡散臭い書物、ナイフ、頭髪、赤い液体入りの小瓶、タロットカ−ド…不吉な予感がした。ヴァンサンはグレゴールに電話を入れる。「あの爺さんの袋なんだけどさ。パンドラの箱だよ。世界中の罪が詰まっている」
 「見に来いよ」の指示に従って友人宅を訪れたグレゴールは…腹部を数度突き刺されたヴァンサンの死体を発見する。指紋を拭き消すことも忘れ、袋を掴んで現場から逃走を図っていく…

【解説】
 ヴァルガスですので特別な推理はありません。アダムスベルグの夢想、直感で全て処理されていきます。登場人物の予想できない動きが絡みあい、物語は地味な驚きを次々と生み出していきます。これはヴァルガス・マジックなり。小説と一味違うのは純愛が絡んでくる部分。アダムスベルグやカミーユ、ダングラールはその点不幸なので新鮮な展開でした。  
 ちなみにボードワンの描くアダムスベルグは自伝系BDでの肖像とそっくりです。

Photo : "The Seventh Victim" / Mark Robson, 1943
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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