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『タムタムの心』
〔2003年〕

トニノ・ベナキスタ(原作)
&オリヴィエ・ベルリオン(画)
     BD、ベルギー領コンゴ
マジックリアリズム、アフリカ独裁政治

〔初版〕 2003年
ダルゴー社(パリ)

Coeur tam-tam
/ Tonino Benacquista & Olivier Berlion.
-Paris: Dargaud.
- 64p. -32 X 24cm. -2003.

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家に戻る小道に差しかかった時に一発の銃声が響いた。
肩掛けカバンでモゾモゾしていた野鼠の頭が破裂。
   肉片が目まで飛び散ってきた。
慌てない。背筋を伸ばしたまま。振り返らないように。
誰が撃ったのか分かっていた。
またあのラグロードの仕業だった。
 「ベルギー領コンゴでの油椰子栽培」
トニノ・ベナキスタ作
短編集『少女たちを粉々にする機械』収録
リヴァージュ社、リヴァージュ・ノワ−ル169番
1993年、57〜58ページ。

【あらすじ】
 夢の続きだと思った。目を開けると蝋燭の光がぼんやり輪になっている(電気の供給は一年前に切られていた)。薄暗がりで蠢いている影。部屋には銃を手にした6人の男が立っていた。  
 「ウジェーヌだな?」
 片田舎でのんびり余生を送っていた一人の中年男。アフリカ帰りの変わり者として知られていたが、地上げに反対して揉めている以外誰に迷惑をかけているというわけでもなかった。そんなウジェーヌの部屋に武装した覆面集団がやってくる。最初は地上げ絡みの話だと思った。ラグロードによる嫌がらせの続きかと。
 「油椰子の話が聞きたい」
 ウジェーヌの表情が変わった。はるか昔、40年前、コンゴの油椰子について本を書いたことがあった。誰も知らない書籍だった。テロリストが興味を持つ内容ではなかったはずなのだが…

【解説】
 1993年に発表されたベナキスタの短編を漫画化した一作。評価が割れていて、一部フランス人のコメントでは「緊張感がない」、「デッサンが出鱈目」など酷評されています。一方現代フランス文学と漫画の紹介で定評のある《リール・アン・フェット》さんでは「絵も悪くないし、とても読みやすいし、ストーリーもかなりいける」、3拍子揃った出来栄えと絶賛されていました。  
 前半はのほほんとした中年男を中心にレイドバックした雰囲気を漂わせています。次第に仮面が剥がれていき、アフリカ独裁政治の狂気から都市テロリズム、マジック・リアリズムまで混ざりこんだ予想外の展開に。コンゴの油椰子のおかげで人生の勝ち組に大逆転、ベナキスタらしく最後はロマンチックなハッピーエンドで締めています。「緊張感」云々の批判は的外れですね。これは繊細なメリハリと呼ぶのです。

Photo : "The Seventh Victim" / Mark Robson, 1943
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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