"Balèzes" & "Découvertes" / Editions Clô

巨漢[バレーズ]/発見[デクーヴェールト] 他
 〔1989 - 1996〕

クロ社 (サン・ブレッソン)
     地方出版社、短編専門誌

【概説】
フランス東部のオート=ソーヌ県、ジャンルの愛好家クロード・フランクヴィル氏が運営していた小さな地方出版社がクロでした。1989年、セリ・ノワールを含め仏ノワール界が質量ともに総崩れを見せていた中で、フランクヴィル氏は短編専門雑誌「ヌーヴェル・ニュイ」を創刊。新人・若手作家を積極的に取り上げ草の根の振興活動を進めていきます。  
長編デビュー前のパスカル・デサンやアブデル=アフェド・ベノトマンがステップアップしていく踏み台となり、同時にジャン=ベルナール・プイを含めたローカルな独自ネットワークの拠点となっていきます。92年から小説の出版に着手。新人作家を叢書「発見」で、既に知名度・実績のある作家を叢書「巨漢」で扱っていました。表紙の左側で色分けしてあって、「発見」は緑、「巨漢」は明るめの青になっています。 
出版活動は96年に停止。計10冊。作品数こそ少ないですが、仏ノワール停滞期(89〜93年)に輝きを見せていた数少ない出版社の一つでした。 

【諸データ】
【1989年】
ヌーヴェル・ニュイ誌第1号創刊。66ページ。30フラン。この段階ではクロ・プレス(Clô Presse)の出版社名を使っていました。
 
【1992年】
1992年にモンペリエで開かれたイベント「怒れる読書」(La Fureur de Lire)でフランクヴィルはミステリーを題材にした文芸教室開催を依頼されます。モンペリエのラ・パイヤード地区を舞台とし、10章の物語を文芸教室に参加したメンバーが1章ずつ書き上げていくという趣旨のイベントです。
【1995年】
ヌーヴェル・ニュイ誌がリュトビュフ賞を獲得。10号まで到達。
【1996年】
年初にレナルの『森には一匹の殺し屋が』を再刊。秋に出したヌーヴェル・ニュイ誌12号が最終号となり出版社の活動が停止。最終号にはアラン・ガニョル、フランソワ・ジョリ、ベルトラン・デルクール他が寄稿していました。

【作品 〔黒のガール県連作〕】
『国道86号』
ジャン=ベルナール・プイ著
   
 R.N.86
/ Jean-Bernard Pouy
[1992]
   

【作品 〔発見〕】
 『咎人』
アブデル=アフェド・ベノトマン
 『マーケットを越えて』
ジャック・ガンドン著
 『狼の終わり』
フィリッピ・カルラン著
 Les Forcenés
/ Abdel-Hafed Benotman
[1993]
Par-dessus le marché
/ Jacques Gandon
[1995]
Fin de Loups
/ Philippe Carlin
[1995]

『生者に憐れみを』
ジャン=クロード・パトリジョン著
   
Pitié pour les vivants
/ Jean-Claude Patrigeon
[1995]
   

 
【作品 〔巨漢〕】
 『椰子と鰐』
ジャン=ベルナール・プイ著
『無駄骨』
ベルトラン・デルクール著
『道化』
ノエル・シムソロ著
Palmiers et crocodiles
/ Jean-Bernard Pouy
[1994]
En pure perte
/ Bertrand Delcour
[1994]
Clown
/ Noël Simsolo
[1995]

『リトル・ラビット』
カー
   
 Petit Renard / Kââ [1995]    

【作品 〔再刊〕】
 『森には一匹の殺し屋が』
パトリック・レナル著
   
Un tueur dans les arbres
/ Patrick Raynal
[1996]
   


【最終更新】 2009-06-10
Photo : "Voici le temps des assassins" / Julien Duvivier, 1955
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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