マレ地区の花

トマ・エドゥアン著


〔初版〕 2008年
ラ・テンゴ社 (パリ)
叢書 モナ・キャブリオル


Les Fleurs du Marais / Thomas Hédouin
-Paris : La Tengo Editions.
-(Mona Cabriole)
-148p. -12 ×18cm. -2008.


   

 シテ島、ノートムダム寺院に程近い一角で警官の撲殺死体が発見される。ドラァグ・クィーンの衣装を身にまとい、喉元に謎の略号「OTON」を刻まれていた。警察への挑発?憲兵隊からの連絡を受けた上司デュトロは部下を招集する。

 MP3を聴いていた女が目を上げる。新米ルポ記者のモナ・キャブリオル。携帯に手を伸ばす。上司からの電話だった。一つインタビューを終わらせた所だったが、発生したばかりの警官殺し事件をカバーするよう指示があった。女は愛車のスクーターに乗って現場に直行する。

 「パリ左岸のゲイ・カルチャーに詳しい?」、モナは親友クララに質問をぶつけてみた。「どうして?」、「勘なのよ。今扱っている事件に関係してる気がするの」。バイ・セクシャル嫌いを自認する地元ネオ・ファシスト青年たちが「狩り」を始めていた。

 モナは「狩られた」青年の一人から話を聞いていく。「殺された警官にも一度助けてもらったことがあったかな」。復讐?「警官に手を出すほど度胸のある連中じゃないと思うけど」。モナの元に続報が入ってくる。デュトロ配下、もう一人の警官が今度はセーヌ川の橋桁に吊られた姿で見つかっていた…

 新叢書モナ・キャブリオルの第一弾。モナ&クララの婦女子二人組、デュトロを中心とする捜査団、バイセクシャルのサークル、ネオ・ファシスト一党。4つの動きを描写し、絡み合わせているのですが、どれも踏みこみが甘く魅力薄な内容になっています。内容の薄さが「!」の多い台詞回しで水増しされている感じ。

 対官憲の挑発的な切り出しにファジャルディ『警官殺し』を思い出して一瞬期待したのですが…足元にも及びませんでした。女性を主人公にした連作物はやはり難しいのだと実感します。設定は悪くないと思うので真打ちのワルケル、ビベルフェルド、シェナス当たりが登場するまで待ちましょうか。


Photo : "The Doorway To Hell" / Archie Mayo, 1930
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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