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暗殺者名:カルタゴ
〔2000年〕 |
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ジャン=ユーグ・オペル著 |
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仏大統領暗殺未遂事件 |
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リヴァージュ社 (パリ)
叢書 リヴァージュ・ノワール 346番 |
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Cartago / Jean-Hugues Oppel
-Paris : Editions Payot & Rivages.
-(Rivages/Noir; 346).
-313p. 11 × 17cm. -2000. |
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【あらすじ】 |
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94年の革命際、コンコルド広場。軍隊による華やかなパレードが続いていた。装甲車の姿が見えると大統領が立ち上がる。側近たちとともに拍手を送り始めた。正面の建物も窓が開き、市民たちがカメラを手に待機していた。カメラだけではなかった。ホテル「クリオン」のベランダで狙撃手が銃を構えていた。テレメーターを調整、深呼吸、引金を絞った。 |
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一ヵ月後のパリ市内。輸出業の看板を出したビルの6階。国土調査局、情報局、外務省他の高官が集まっていた。大統領暗殺「未遂」事件について総括が行われている。狙撃手は用いた銃から「カルタゴ」のコード名で呼ばれていた。狙撃前後の状況は調べがついていたが、暗殺者の足取りは不明だった。幾つかの謎が残されていた。綿密な計画にも関わらず狙撃に失敗したのは何故か。誤って射殺されたドイツ高官が本当の狙いだったのか? |
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いずれにせよ狙撃手が再度活動に入る可能性は高かった。大統領夫妻の安全を確保するため、エリートによる護衛チームが結成される。メンバーの一人が一般作戦局(DOG)所属の女性ファレーヌだった… |
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【講評】 |
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パリ郊外での地上げ問題(『麗しの暗殺者』)から、ベトナム帰還兵による薄暗い殺人劇(『港町アンベルナーヴ』)、さらに精神を病んだ連続殺人鬼(『シックス・パック』)と着実に評価を高めてきたジャン=ユーグ・オペルがラドラムの向こうを張る政治スリラーに挑戦したのが本作『暗殺者名:カルタゴ』。治安を守る側からではなく、その末端で生きている一女性(ファレーヌ)の視点から出来事を綴っていくことで地に足の着いたノワール感を演出することに成功しています。 |
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大統領府の権力ゲームをシニカルに描写し、護衛チームに課される特殊訓練について詳述するなど細部に凝った書きっぷりは流石。結末部では大統領暗殺未遂事件の「なぜ」が解かれ、銃を持ったファレーヌがカルタゴの動きを先回りして最後の本当の悲劇を防ごうとします。 |
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【最終更新】 2009-06-16 |
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