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Pierre Fossard

ピエール・フォサール
 〔1959 - 1998〕

     【活動叢書】リヴォルヴァー
カナーユ/リヴォルヴァー、ル・プルプ


【略歴】
1959年、フランス中央部に位置する人口15万人のチュ−ル市生まれ。チュール市拘置所で文芸教室を開催1990年に地方出版社から処女長編を公刊。短編コンク−ルに寄稿を始め、幾つかの賞を獲得。カナーユ社を創設したJ-J・ルブーが才能に着目し初期長編2作が同社より公刊されています。  
作風はジャウアン〜シレイジョルに連なるローカルな悲劇サスペンス。主人公の怒りや悲しみ、狂気を増幅させていき最後のカタルシスでストンと落とすのが得意。「ヒッチハイク女性を車に同乗させる」パターンを頻繁に使用していました。98年に病没。10年に満たない作家活動で長編3作、中篇1作、短編集2作が残されています。
フランス語によるインタビューや紹介記事が一切存在しない幻のノワール作家。唯一チュール市情報館主催による短編コンクールが現在ピエール・フォサール賞と名付けられています。確かにこの作家の本領は短編にあると思いますので、死後出版となった掌編集『血塗れの道』を代表作としてお勧めしておきます。

【諸データ】
長めの短編4つで構成された拾遺集。2作はカナーユ社の短編集で既出(『路傍の偶然』)。短編「マチルド」で語られているのはマルク・カルモンの地獄巡りである。知人の医者からエイズだと告げられた主人公マルクは妻を捨て、「偶然に任せた」旅に出る。マチルドとの出会い。女は殺意に満ちた狂気へと男を引きずりこんでいく。短編「アレクス」に登場するのはアイデアの枯渇に悩む失意の作家。崖から飛び降り自殺しようと思ったところ殺人の現場を目撃してしまう。殺人者のリザに一目惚れ。創造のインスピレーションを見て取るが、同時に自身の結末を記録した書物を書き上げるはめになる。「ファビアン」にはフランソワ・ゴティエ氏が登場。17才の息子ファビアンは車に轢かれて死亡、ひき逃げ車は見つからず。父の心は悲しみに苛まれ続けていた。2年後、ファビアンの元彼女から「事故ではなかった」と知らされる。人生は色々かもしれないが決して薔薇色ではない、男が知っていた事実を追認したにすぎなかった。最後の「病」では無実の男に殺人罪を着せる陰謀のドラマが語られていく。

[...] 短編集に収められた4つの運命は邂逅によって大きな変転を見せていく。4作はどれも見事なまでに仕上げられフレデリック・ダール最良の作品に匹敵、この作家の才能を再度確認することが出来る。読み手の心を一番震わせるのは最も短い「病」。「病」とは何か、フォサールの死因が何だったか知っていると…感慨もひとしおではなかろうか。 
 
ウルス・ポラール誌
『血塗れの道』 オンライン書評
1999年
http://patangel.free.fr/ours-polar/lectures/f/fossar01.htm

【長編小説/短編集】

解剖

ピエール・フォサール著


[初版] 1990年
モネディエール社(トレニャク)

L'Autopsie / Pierre Fossard
-Treignac : Editions Les Monédières.
-157p. -21 x 15cm. 1990.


黒い森

ピエール・フォサール著


[初版] 1994年
カナーユ社(シャラントン・ル・ポン)
叢書カナーユ・レヴォルヴェル

Forêts noires / Pierre Fossard
-Charenton-le-Pont : Editions Canaille.
-(Canaille-Revolver).
-19 x 12cm. 1994.


路傍の偶然 [短編集]

ピエール・フォサール著


[初版] 1996年
カナーユ社(シャラントン・ル・ポン)
叢書カナーユ・レヴォルヴェル

Les Hasards de la route / Pierre Fossard
-Charenton-le-Pont : Editions Canaille.
-(Canaille-Revolver).
-174p. -19 x 12cm. 1996.


私は殺人者

ピエール・フォサール著


[初版] 1997年
バレンヌ社(パリ)
叢書カナーユ・レヴォルヴェル 52番

Je suis un assassin / Pierre Fossard
-Paris : Editions Baleine.
-(Canaille/Revolver; 52).
-18 x 11cm. 1997.


憎しみの静脈

ピエール・フォサール著


[初版] 1998年
バレンヌ社(パリ)
叢書ル・プルプ 137番

Veine Haineuse / Pierre Fossard
-Paris : Editions Baleine.
-(Le Poulpe: 137).
-126p. -18 x 11cm. 1998.


血塗れの道 [短編集]

ピエール・フォサール著


[初版] 1999年
バレンヌ社(パリ)
叢書カナーユ・レヴォルヴェル 146番

La Route sanglante / Pierre Fossard
-Paris : Editions Baleine.
-(Canaille-Revolver; 146).
-275p. -18 x 11cm. 1999.

 

【最終更新】 2009-06-11
Photo : "Un Témoin dans la ville" / Edouard Molinaro, 1959
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010